資産・コスト管理

タワマン保有の「見えないコスト」—— 今、売るべきかどうか考えるための話

作成日:
2026.04.02
更新日:
2026.04.02

維持費が静かに、でも確実に膨らんでいる

首都圏を中心に、マンションの管理費や修繕の積立金が急ピッチで上がっています。なかでも20階以上のタワーマンションは上昇幅が大きく、2025年時点での平均管理費は10年前のおよそ1.8倍、月額で約4.2万円。修繕の積立金は10年前の2倍超の水準に達しています。管理費と積立金を合わせると、年間で70万円を超えるランニングコストがかかる計算です。

この背景にあるのは、構造的な人手不足です。マンションの管理員や清掃スタッフが見つかりにくくなり、人件費が押し上げられています。資材費の高騰も修繕コストに直撃していて、専門家は「バブル期でもここまでのコスト上昇はなかった」と話すほどです。

住宅ローン金利も上がり始め、家計への負担が二重になっている

問題は、維持費の上昇だけではありません。住宅ローンの変動金利も、日銀の利上げを受けてじわじわと上がってきています。主要なネット銀行の平均的な変動金利は、2025年初頭の約0.52%から2026年3月には約0.84%まで上昇しました。

「借りたときは0.4%台だったのに、もうすぐ1%を超えそう。それに加えて積立金が最大2.7倍になる案が管理組合で出ている。年間の負担増が30万円を超えてしまう」という声も聞かれます。

金利上昇と維持費の値上げが同時進行するのは、高額物件ほど打撃が大きくなります。借入額が大きいほど、金利が0.3%上がるだけでも返済額への影響は相当なものになるからです。

「半分は投資のつもり」だった人ほど、注意が必要です

近年のタワーマンション購入者には、自分が住みながら資産価値の上昇も期待する「半分実需・半分投資」という感覚を持つ方が多くいました。実際に価格は上がり続けてきたので、その判断が間違いだったわけではありません。

ただ、ここにきて状況が変わりつつあります。東京の都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)では、2026年2月の中古マンション価格が37ヵ月ぶりに前月比マイナスとなりました。価格の上昇が一服しはじめているサインです。

「高値で買っていれば、その後多少上がっても売却益は小さい」という事実に加えて、毎月のランニングコストがどんどん増えていくとすると、保有し続けることの旨みは以前より確実に薄れています。さらに今後、「将来の維持費増加分を見越して値引きを求める買い手」が増える可能性も指摘されています。つまり、売るタイミングが遅れるほど、売却価格に対してコスト負担の割合が重くなっていく構図です。

首都圏だけの話ではなく、各地に広がっていく問題です

管理費や積立金の上昇は、首都圏だけの現象ではありません。近畿圏や各地の主要都市でも上昇傾向が見られており、専門家は「まだ首都圏ほど高くなっていない物件も一部にはあるが、人手不足はむしろそうした地域のほうが深刻で、これから大幅な値上げが必要になる可能性が高い」と指摘しています。

首都圏のタワーマンションで起きていることは、今後、各地の物件にも順番に波及していく可能性が高いのです。

売却を考えているなら、今が判断のしどころかもしれません

もし「将来の維持費がどこまで上がるかわからない」「金利の上昇がこれ以上続くと家計がつらい」「物件価格がこれ以上大きく上がる気がしない」と感じているなら、そのモヤモヤは根拠のない不安ではありません。数字を見ても、そう感じるのはごく自然なことです。

売却を決断するには、まず管理組合の長期修繕計画を確認して、今後の積立金の見通しを把握しておくことが大切です。そのうえで、現在のローン残高と金利シミュレーションを照らし合わせ、年間コストの合計を試算してみると、判断の材料が見えてきます。

「保有し続けることがつらい時代になりかねない」という専門家の言葉は、脅しではなくデータに基づいた警告です。価格がまだ底堅いうちに、一度真剣に選択肢を検討してみることをおすすめします。

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