全国で広がる修繕費の課題
国土交通省の令和5年度マンション総合調査によると、長期修繕計画上の積立目標額に対して実際の積立額が不足しているマンションは全国で36.6%にのぼります(前回調査より1.8ポイント増加)。
背景にあるのは建築資材・人件費の継続的な高騰です。中東情勢を背景とした資材供給不安も加わり、修繕工事の実施が計画より遅れるケースも出始めています。竣工から30年前後を迎えたマンションでは、給排水管の交換、エレベーターの更新、機械式駐車場のリニューアルといった大規模な工事が重なりやすい時期でもあります。段階増額積立方式を採用している場合、長期修繕計画の当初から最終年にかけて修繕積立金が平均約3.58倍に値上がりするという国交省のデータもあり、購入当初とは大きく異なるコスト構造になっていることも少なくありません。
岡山のタワマンが置かれている状況
岡山市北区にも、この問題と無縁ではない物件が複数存在しています。ファミールタワープラザ岡山(国体町、29階建)は1996年竣工で築30年超、フォーラムシティ(駅元町、21階建)は2001年竣工で築24年を迎えています。さらにライオンズタワー岡山表町(2007年竣工・築18年)も、今後の予備軍として続きます。
物件を所有されている方であれば、管理組合の総会資料や長期修繕計画書を通じて積立状況をある程度把握されているかと思います。計画通りに積立が進んでいるマンションと、不足が生じているマンションとでは、今後の対応も当然異なってきます。
地方都市ならではの判断軸
大都市圏のタワマンであれば、修繕費が増加しても資産価値の維持や売却価格への影響が比較的限定的なケースもあります。しかし岡山市のような地方都市では、いくつかの点で事情が異なります。
流通市場の規模。 売買件数そのものが大都市と比べて少ないため、修繕積立金の値上げや一時金の徴収が予定されている物件は、買い手がつきにくくなる傾向があります。
管理組合の運営体力。 区分所有者の高齢化が進んでいる物件では、値上げ議案が否決されるリスクも存在します。修繕資金が不足したまま工事時期を迎えると、一時金の徴収や借入が必要になる場合もあります。
収益性への影響。 賃貸に出している場合、管理費・修繕積立金の値上がりは手取り利回りを直接圧迫します。岡山市の賃料相場はコスト増を転嫁できるほど高くはないため、収益物件として保有し続けるメリットが薄れるケースもあります。
売却という選択肢を検討するタイミング
積立状況や修繕計画の内容は、買い手が物件を判断する際の重要な材料です。管理組合の財務状況が良好なうちは選択肢が広く、問題が表面化してからでは売却価格や売却のしやすさに影響が出やすくなります。
「保有継続」「売却」「賃貸化」のいずれが最善かは、それぞれの物件の状況や所有者の事情によって異なります。まだ判断を急ぐ必要はないとしても、現状を整理しておくことが将来の選択肢を広げることにつながります。
現在の物件の状況や市場価値を一度確認してみたいという方は、お気軽にご相談ください。
参考:国土交通省「令和5年度マンション総合調査」、国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和6年6月改定)」
