マンションの資産価値というと、立地や築年数、修繕積立金の残高に目が向きがちです。しかし近年は、管理そのものの質が問われる時代に入りつつあると言われています。専門家の指摘と公的な動きをもとに、オーナー様が確認しておきたいポイントを整理しました。
指摘されている管理の構造的な課題
あるマンション管理士へのインタビュー記事では、修繕積立金の不足は表面に出た現象にすぎず、背景に管理会社・管理組合・専門家それぞれの構造的な問題があると指摘されています。
管理会社側では、人手不足や働き方改革の影響で業務の効率化が進む一方、法改正やIT化で業務は複雑になり、担当者が建物を見て回る時間が減っているといいます。管理組合側でも、所有者の高齢化や関心の低下、理事のなり手不足が進んでいるとされています。
この「建物と住む人の2つの老い」は統計にも表れています。全国の分譲マンションは2024年末時点で約713.1万戸あり、このうち築40年以上は約148万戸です。10年後には約2.0倍、20年後には約3.3倍に増える見込みです。
■ 港区マンション管理適正化推進計画(築40年以上のマンション戸数・国土交通省推計)
岡山のマンションオーナーにとっての意味
岡山市内の高級マンションやタワーマンションは比較的新しい物件も多いですが、管理の仕組みが整っているかどうかは、築年数とは別の問題です。
外部管理者方式の広がり
役員の担い手不足を背景に、管理会社が管理者に選ばれる例や、新築時からそれを前提に分譲される例が出てきています。国土交通省は、運営次第で所有者の意思から離れた管理や利益相反、コスト増が生じるおそれがあるとして、導入には慎重な検討と所有者による適切な監督が必要だとしています。インタビューでも、誰がチェックするのかという点が課題として挙げられていました。
■ マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドラインの策定(国土交通省)
大規模修繕の発注
2025年3月、公正取引委員会は談合の疑いで首都圏の大手修繕業者約20社に立ち入り検査を行いました。2026年7月には、岐阜・愛知・三重の東海3県のマンション修繕工事でも、設計コンサルタントと施工業者に立ち入り検査が行われています。地方都市も無関係とは言い切れず、発注の透明性は所有者全体の関心事です。
■ 東海3県で修繕談合疑い 公取委が立ち入り検査(秋田魁新報・共同通信)
法改正による運営ルールの変化
2026年4月1日に改正区分所有法が施行され、総会の開催手続きや決議要件など、管理組合の運営に関わる重要な内容が変わりました。管理規約の見直しが必要になるため、総会の議題に上がっていないか確認しておくと安心です。
オーナー様が確認したいポイント
① 長期修繕計画の中身を見る
インタビューでは、計画上は項目がそろって見えても、部品交換や設備工事の一部が見込まれていない例があると指摘されています。金額の合計だけでなく、項目の抜けがないかを確認したいところです。
② 修繕工事は価格だけで判断しない
「何割安くなる」という提案は、仕様を落としている場合もあるとされています。住みながら行う工事では、施工管理や居住者対応の経験も重要な判断材料です。
③ 管理計画認定制度を知っておく
岡山市では、管理組合が定めた管理計画が一定の基準を満たす場合に、適切な管理計画を持つマンションとして認定する制度を設けています。認定基準は、管理組合の運営、管理規約、経理、長期修繕計画の作成や見直しなど16項目です。認定を受けることで、市場での評価向上などの効果が期待されています。
④ 売却時の見られ方を意識する
管理状態は、購入を検討する方が確認する項目のひとつです。総会への参加や議事録の確認など、日頃から管理に関わっておくことが、将来の売却時の説明にもつながります。
【まとめ】
マンションの資産価値は、修繕積立金の残高だけでは決まりません。管理会社に任せきりにせず、所有者自身が管理の中身を確認していくことが、住環境と資産を守る第一歩になります。
