「外国人によるマンション購入に規制がかかるかもしれない」——そんな報道に、ご所有のマンションの資産価値が気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。結論から申し上げると、取得規制そのものは当面動きません。ただしその裏側で、所有者情報の扱いをめぐる変化が2つ、日程まで決まって進んでいます。
変わらないこと:取得規制は当面見送りへ
政府・自民党は今夏の外国人政策のとりまとめで、マンションなど不動産の取得規制には踏み込まない方針と報じられています。自民党の外国人政策本部が6月4日にまとめた提言も、国土交通省の取引実態調査の結果を踏まえて改めて検討すべきだ、という表現にとどまりました。
理由は2つあるとされます。そもそも「誰が買っているのか」を示すデータが整っていないこと。そして、世界貿易機関(WTO)のサービス貿易に関する一般協定にある「内外無差別」(外国人や外資企業を差別的に扱わない)の原則です。加盟時に留保条項を設けた国と異なり、日本は土地取得の留保を置いていないため、外国人のみを対象とする規制にはハードルがあると指摘されています。
岡山の価格上昇は「海外マネー」で説明できるか
都心部では外国人の短期売買が価格高騰を招いたとの指摘もありますが、裏付けるデータは乏しく、むしろ建設資材や人件費の高騰、好立地の希少性が重なっているとみられます。
この構図は岡山にも当てはまります。国土交通省の令和8年地価公示(2026年1月1日時点)では、岡山市北区の全用途平均が前年比プラス3.80%、商業地はプラス4.99%と、全国平均を上回りました。岡山駅周辺の再開発や都市機能の集積が評価された結果とみられます。一方で郊外部には横ばいから下落の地点もあり、価格を支えているのは投機資金というより、駅近・利便性という実需の裏付けだと考えられます。
変化①:2026年10月、登記に「国籍等」の申出が加わる
1つ目は、登記の手続きそのものの変更です。2026年3月31日公布の改正不動産登記規則により、同年10月5日から、所有権の保存・移転登記などの際に、登記名義人となる方の「国籍等」を検索用情報として申し出ることが求められます。外国籍の方だけでなく、日本人も対象です。
この情報は法務局の内部で管理され、第三者が閲覧できる登記事項証明書には記載されません。プライバシーへの配慮はなされています。
売却時の影響は、決済・登記の場面で必要書類が増える可能性です。とくに相続人が海外にお住まいの場合、国籍を証明する書類の取り寄せに時間を要することがあります。運用の詳細は今後の通達で示されるため、該当しそうな場合は司法書士など専門家への早めの確認が安心です。
変化②:2027年度、所有者情報が政府内で共有される
2つ目は、集めた情報の使い道です。デジタル庁は、国籍情報を政府内で共有するデータベースを2027年度にも整備する方針とされています。これまでは購入者の住所から推測するしかありませんでしたが、所有の実態が数字で見える状態に近づきます。
この2つが揃って初めて、「規制すべきかどうか」の議論に必要な材料が出そろいます。今回の見送りは議論の終わりではなく、順番の問題だとご理解いただくのが実態に近いといえます。
まとめ
規制は動かず、登記実務とデータ基盤が先に動く。これが今の局面です。市場の前提が急に変わる可能性は高くないからこそ、政策の行方を追うより、ご所有の住まいが今どう評価されているかを把握しておくことが大切ではないでしょうか。
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